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The calm before the storm -side.guild-

「はぁ?!“ゲーム”?!都市の支配権?!ふっざけんな!」

ダンッ!と荒々しくテーブルを叩く音が、シエル・ロアの住宅街にある大衆食堂から聞こえた。叫び声の主は金髪の青年。
若干幼さが残る顔に怒りをあらわにしながら、青年は自らを「運営委員会の広報班」だと名乗った男の胸元を掴んだ。

「んなふざけたもので、俺達市民の権利がめちゃくちゃにされてたまるかよ!」
「この都市の支配者であり、ゲームの【主催】である方が決めた事ですから」
「てめぇっ!」
「おい、落ち着けってキール!」

激昂して思わず殴りかかりそうになったのを別の客に宥められ、青年―キール・ジンクロメートは舌打ちして、掴んでいた手を離した。
目の前の男は、あくまで“ゲーム”の話を持ってきたにすぎない。責めたからといってどうにもならないのだ。

「そう言われるのであれば、貴方も“ゲーム”に参加なさってはいかがですか?」

広報班の男の台詞をとっさに理解できず、キールは一瞬怒りも忘れてキョトンと眼を丸くした。

「は……?」
「もとよりそのつもりで参りました。ジンクロメート財閥と言えば、この都市シエル・ロアにとどまらない世界有数の大財閥。充分組織力はあると思われますが」
「………」

キールは腕を組んで眉を寄せ、考え込むような仕草を見せた。店にいる誰もが息をひそめ、キールと広報班の男の姿を見つめている。
永遠かと思うほど嫌な沈黙が数秒続き、キールは顔を上げて口を開き……

「参加しねぇ」

一言、そう言った。

「ちょ、おま、キール?!」

思わずと言った様子で客の男が声をかけた。あれだけ激昂したのだから参戦するだろうという予想を完全に崩され、その顔には動揺の色が浮かんでいる。
それは他の客たちも同じで、誰もが「嘘だろ?!」という目でキールを見ていた。
だが、当のキールは、周りの反応が理解できないというように首を傾げる。

「おいおい、お前ら何勘違いしてんだ?」
「いや、勘違いも何も……」
「だからー…。俺は、“ジンクロメート財閥”としては参戦しねぇって言ったんだぜ?」

 その言葉に驚いたのは広報班の男だった。キールはビシッと広報班の男に指先を突きつけ、高らかに宣言した。

「俺は“ギルド”ジンクロメート団を創設する!街の人間を守るため、俺達の自由を守るため!ふざけた“ゲーム”に参加してやるぜ!」

 それから親指を立てて自分の胸元に持っていき、口元に挑戦的な笑みを浮かべる。

「俺が正義だ!」


To Be Continued...